「東京檜」はその名の通り、加工材料には「檜(ヒノキ)」を使用しています。ヒノキは建築材としては古くから使われています。奈良や京都の神社仏閣もそのほとんどが「ヒノキ」を主材料としています。建築材として活用されるこの「ヒノキ」は実は「年代が進むにつれてその強度が上がる」という特性があります。古代からの神社仏閣に使用される所以なのでしょう。
もちろん、「東京檜」は建築屋さんではありません。主に、ヒノキを使用した小規模な加工品(雑貨)を作っています。実は、小型の歯車も設計しています。この歯車が優れもので、いろいろな製品に使用されています。最初も応用は、「ヒノキのチェーンソー」でした。小型のモータを内蔵して、同じくヒノキの薄板で作った「チェーン」が「コリコリ」音を立てながら回転します。その後、「観覧車」、「メリーゴーランド」、「水車小屋」、「電動のこぎり」などいくつかの電動おもちゃをヒノキで制作してきました。この間、実は一番苦労したのあ「回転軸」でした。はじめは、直径5mm~6mm程度の丸棒を使用していました。しかし思わぬ盲点がありました。
「ヒノキ(に限らず、木材は)は、ねじれに弱い」という現実です。これは、観覧車やメリーゴーランド等の回転物を展示会などに出展し、数時間程度連続運転していると必ず不調を起こすのでした。決まって、回転軸がダメになりました。よくよく考えると当たり前で、木製の丸棒を連続的に回転軸として使用していると、そのねじれの力で木の繊維がぐずぐずになってしまうのでした。これは太い軸にするほど寿命は長くなるのですが、商品としては失格です。金属性にすれば大丈夫なのですが、やはり、ヒノキにこだわりたいわけです。現在はこの弱点を改善する構造に再設計されています。設計は相変わらずヒノキなのですが、少し軸の構造を工夫しています。

回転軸に限らず、木材を可動部に小するときは注意が必要です。木の繊維を崩さないような設計をすることが必要です。また、当たり前のことではありますが、木目方向への破損や曲がり等も要注意です。小さな部品はあまり気にしなくても大丈夫ですが、少し面積が大きくなるとこの、破損、曲がり(反り)の問題が発生してきます。適切な「部品どり」と加工方向を考慮することが必要です。CAD等での設計の時点で、どのように(レーザーで)カット、彫刻するかをよく考えて設計する必要があります。また、全体の組み立てを木工ボンド等の接着剤を使用するのか、あるいは、タッピングねじ等を使用するのが適切かの検討が重要です。もちろん、材料の使用率もコストに関して重要なポイントとなります。できるだけ、無駄な端材が出ないような設計を心がけています。
